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精油

Essential oil

日常の言葉では、精油とは植物から採れる香りのある液体すべてを指す。ISO 9235:2021ではこの語ははるかに狭い。精油を生むのは3つの経路のみ:水蒸気蒸留、柑橘果皮の機械的圧搾、乾留である。アブソリュート、コンクリート、CO2抽出物は溶剤を使うため、ISOの用語では精油ではない。

本ページでは熱を用いる2つの経路、すなわち水または蒸気による蒸留と乾留を扱う。第3の経路である柑橘果皮の圧搾は圧搾のページで扱う。

植物原料から3つの経路(水蒸気蒸留、柑橘果実の外果皮の機械的処理、乾留)のいずれかで得た産物で、その後に水相を物理的に分離したもの。ろ過、デカンテーション、遠心分離は組成の大きな変化とはみなされない。


概要
方法直接水蒸気蒸留 · 水蒸留 · 水蒸気・水蒸留 · 乾留
溶剤水、蒸気。有機溶剤なし
温度大気圧で約100 °C。加圧蒸気ではそれ以上
収率の範囲約0.03–0.045%(ダマスクローズ)〜約15–17%(クローブバッド)
物理的形態液体。大半は水より軽いが、水より重い精油も少数ある
代表的な原料ラベンダー、ローズ、クローブバッド、パチョリ、ベチバー、バーチ(乾留)
ISO 9235の用語essential oil(精油、3.11)、obtained by steam distillation(水蒸気蒸留による、3.12)、dry-distilled(乾留、3.9)

01蒸留のしくみ

蒸気は植物原料の中を通り、油を含む組織を破るか浸透して、揮発しうる分子を運び去る。水と油のように混ざり合わない2つの液体は、どちらの沸点よりも低い温度で一緒に沸騰する。こうして、蒸留釜が約100 °Cのままでも、沸点が200 °Cを超える分子がコンデンサーに達する。

蒸気はコンデンサーを通って液体に戻り、分離器に流れ込み、そこで油と水が2層に分かれる。蒸気とともに移動できないもの、たとえばワックス、色素、糖、そして非常に重い分子の大半は蒸留釜に残る。

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023種の蒸留装置

水蒸留(ハイドロディスティレーション):原料を水に浸し、水とともに沸騰させる。ローズの花びらのように、蒸気では固まってしまう原料に適する。ブルガリアとトルコのローズ油はこの方法で作られる。

水蒸気・水蒸留:原料を水面より上の格子に載せ、下の沸騰水から蒸気が原料の中を上昇する。原料は沸騰水に触れない。

直接水蒸気蒸留:別のボイラーで蒸気を発生させ、配管で蒸留釜の底部へ送る。操作者は蒸気の流量と圧力を制御する。最も一般的な工業的方式で、葉、草、種子、木材に使われる。

ISO 9235:2021はこれらを3つの別の産物としては扱わない。項目3.12は水蒸気蒸留で得た精油を対象とし、蒸留釜に水を加える場合(水蒸留)と加えない場合(直接蒸気)の両方を含む。例として挙げられているのはオリスの精油で、一般にアイリスバターと呼ばれるものである。

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03フロレンティーンフラスコとハイドロゾル

一般的な分離器はフロレンティーンフラスコである。凝縮液が流れ込み、油と水が分かれ、水は一定の高さに設けたオーバーフロー口から出ていく。大半の精油は水より軽く浮く。クローブバッド油やシナモンバーク油のように水より重く沈むものもあり、その場合は出口を逆向きに設けたフラスコを使う。

出ていく水がハイドロゾルで、ISOでは芳香水またはハイドロレートと呼ぶ。水溶性の分子を含む。ローズでは2-フェニルエタノールが水に溶けやすいため、その大部分は精油ではなくローズウォーターに移る。この水を蒸留釜に戻して再度蒸留する蒸留所もあり、この方法をコホベーションという。ISO 9235:2021には天然芳香水の項目が加わった:水を加えず、原料自体の水分から蒸留した芳香水である。

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04乾留

乾留では水も蒸気も使わない。木材、樹皮、根、ガムを密閉容器で加熱すると、熱で原料の一部が分解し、凝縮液はタールとなる。ISO 9235:2021はこの形態を3.9で定義し、例としてバーチタール油を挙げている。本ライブラリの例はバーチタールとカデである。

粗製の乾留油は多環芳香族炭化水素(PAH)を含む。IFRAは粗製のバーチタールや粗製のカデ油を香料成分として認めていない。使用できるのは精留品のみで、2つの指標物質ベンゾ[a]ピレンと1,2-ベンズアントラセンの合計が最終製品中で1 ppb以下であることが条件である。

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05収率と蒸留釜の中で起こる変化

収率は原料によって数百倍の差がある。ダマスクローズのクローン選抜系統の研究では0.030〜0.045%の精油が記録され、精油1キログラムあたりおよそ2,200〜3,300 kgの花に相当する。対極にあるのがクローブバッドで、別の研究では樹齢により約15〜17%が記録された。

精油は植物の写しではない。熱と水は新しい化合物を生むことがある。よく知られた例がカマズレンで、ジャーマンカモミールに含まれるこの青い化合物は蒸留中にマトリシンから生成し、花の中にはそのままの形では存在しない。蒸留時間も組成を変える。軽い分子が先に、重い分子が後から出てくるためで、分留はまさにこれを利用している。

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06ライブラリ内の例

ダマスクローズ
ラベンダー
クローブバッド
パチョリ
ベチバー
ジャーマンカモミール
オリス
バーチタール
カデ レクティファイド
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07関連する形態

圧搾
分留
精留・テルペンレス
アブソリュート
CO2抽出物
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08出典

  1. ISO 9235:2021, Aromatic natural raw materials: Vocabulary(第3版、2021年6月)、ISO/TC 54 · iso.org/standard/78908.html
  2. ISO 9235:2021 プレビュー(序文、用語3.1〜3.31)、iTeh Standards · cdn.standards.iteh.ai/samples/78908/be6692eb830e47dfb845c358c10d0cbb/ISO-9235-20
  3. 花の形質の表現型解析と精油プロファイリングにより、ダマスクローズ(Rosa damascena Mill.)のクローン選抜系統に大きな変異が明らかになった、PMC10198992 · ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10198992/
  4. 若木と成木の異なる生物季節段階におけるクローブ(Syzygium aromaticum L.)バッド油の収率、品質、抗酸化活性、PMC7290900 · ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7290900/
  5. IFRA規格:Birch wood pyrolysate(バーチ材熱分解物、第47次改正) · ifrafragrance.org/standards/IFRA_STD_114.pdf
  6. IFRA規格:Cade oil(カデ油、第47次改正) · ifrafragrance.org/standards/IFRA_STD_119.pdf
  7. FAO『Minor oil crops』:精油の蒸留 · fao.org/4/x5043e/x5043E0G.HTM
  8. Tisserand R., Young R. Essential Oil Safety, 第2版. Churchill Livingstone, 2014 · sciencedirect.com/book/9780443062414/essential-oil-safety

09/2026更新。数値は各出典に記載の年に従う。

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